Rashid Johnson

2022年夏、私たちはエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されたラシード・ジョンソンの日本初個展「Plateaus」を鑑賞しに行きました。

https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/rashid-johnson-espace-louis-vuitton-tokyo

高原という意味をもつ《Plateaus》とは、どんなメッセージがこもった作品なのでしょうか。作者の紹介とともにお伝えしていきます。

ラシード・ジョンソンは1977年生まれのアメリカ人アーティストです。

彼は所謂黒人なのですが、偏見的なイメージを込めた「黒人アーティスト」という括りを嫌い、自らの個性を表現した上で、そのような思想を変えていこうとする、ポストブラックという活動に参加しています。

本展は、2014年に制作された《Plateaus》を中心に、「ポスト・ブラック」の重要アーティストのひとりである彼の作品を日本で初めて紹介する場となりました。

そんな彼の作品の展示に協力するルイヴィトンから、あの人は黒人、白人、黄色人種だから○○ではないか のようなオールドファッションな見方をせず、個人個人と向き合い多様性を認め合おうというメッセージなのではないでしょうか。

以下より、彼のインタビューの記事について紹介したいと思います。

以下引用 https://brutus.jp/louisvuitton_plateaus/

ジョンソンのインタビューにおいても、アメリカで育ったジョンソンにとって、自らのルーツであるアフリカが一般的に消費されているアフリカのイメージと混濁し、どこか人ごとのようにも感じられてしまう矛盾を語っていた。

この作品について、作家本人はこのように語っている。

「私が用いる素材にはどれも実用的な用途があります。シアバターは、体に塗ること、そして、それを塗ることでアフリカ人らしさの獲得に失敗することを物語ります。本は情報を広めるもの。狙いは、すべての素材が『異種混交』して、私を著者とする新たな言語へとなることです。骨組みは、この異種混交のためのプラットフォームです。それは、コロニー化されるべき未知の空間として存在しています」

今回展示されているインスタレーション《Plateaus》に点在する、植物、木材、シアバター、陶器、さらには本や無線機器といったモノたちは、彼自身を表す記号の断片でもある。そして、文化的、個人的、人種的なアイデンティティに疑問を投げかける。ジョンソンは、これら記号のすべてをトレースすれば彼自身になれると言うが、もちろんそんなことは誰にもできない(彼はインタビュー中で、別の世界線にはいるかもね(笑)、と語っていた)。

なんとなく南国風というイメージで見てしまっていた植物も、原産地は熱帯だったり砂漠だったりとバラバラらしい。しかし、ジョンソンが「異種混交」と言う通り、植物もまた、もといた土から離れると、その環境に適合するべく変化をしていく生き物だ。異なる植物やモノが同じフレームの中に置かれることで、そこには新たなグループが生まれ育っていく。ただ、同時にそれら一つ一つがもつ背景やストーリーは実に多様だ。この状況に、ジョンソン個人を重ねて見ることができる。

とりわけアメリカ国内では、今もなお人種差別が大きな問題としてあり続ける。この作品がもつある種のわかりにくさは、鑑賞者のおおざっぱな理解をやや批判的に刺激するとともに、相互理解の難しさも物語っている。複雑さをそのまま提示することで対話の切り口を生み出せるのも、アートの良いところ。時間をかけて作品に向き合い、理解を試みる行為そのものを楽しんでみてほしい。


Courtesy of Fondation Louis Vuitton © Rashid Johnson

Posted in